Pavel Hlava(1924-2003)
Pavel Hlava/パヴェル・フラヴァはチェコスロバキア時代に活躍した現代ガラス彫刻家のひとりです。
ミッドセンチュリー期にチェコスロバキアのガラス芸術家とともに、ガラスの芸術性を革新的な視点から見て、
現代ガラス芸術の新しいジャンルを牽引したパイオニアでもあります。
そして、彼女が行ったのはガラスを商業用と芸術品で分けるのではなく、
当時のガラスメーカーからは矛盾ともとれる、両立させたデザインを目指していました。
その革新的な商業的価値と美術的価値を組み合わせた作品は大きな成功をおさめ、
多くの賞をもらい、数々の美術館にコレクションがされるようになります。
そのひとつに、1957年に誕生した中心部が鮮やかに色付けされた一輪挿しがあります。
パヴェル・フラヴァが1957年にデザインし誕生した、一輪挿し。
この作品はチェコの老舗高級ガラス工房でもある「EXBOR」を通して販売された、
優れた芸術性を含みながらもフラワーベースとして、一般的に販売されたアートガラスです。
一般的に買えない芸術品ではなく、商品として販売された芸術品は大ヒットし、人気を博します。
透明度が非常に高いカリガラスに縁はグラデーションの装飾、中心部は鮮やかなしずくが垂れるようなデザイン。
この時代に多い、柔らかな流線的なフォルムではなく、力強さと重みを感じさせるしっかりとしたフォルムに、
緩急のある流曲が美しい中心部は、ガラス彫刻家でもあるパヴェル・フラヴァだからこそできた作品です。
美術館にあるコレクションを見ても、この一輪挿しのような雰囲気を感じさせ、力強さは彼女がデザインするガラスの特徴のように思われます。
そしてガラス本体の美しさはさることながら、透明度の高いガラスを通した光の影も美しく、影まで考えられたデザインです。
花飾る花瓶としても使用できますが、花がなくともお部屋を飾るアートピースとも言えます。